医師は英語を話せる?外国人患者急増時代のリアル

近年、日本を訪れる外国人観光客や在留外国人が急増しており、医療現場でも英語対応の必要性が高まっています。日本の医師はどれくらい英語を話せるのでしょうか?また、実際の診療現場ではどのような問題が起きているのでしょうか?

日本の医師の英語力の現状や外国人患者対応の課題、そして医師が英語力を向上させるための具体的な方法についてわかりやすく解説したいと思います。


1. 日本の医師の英語力の現状

まずは、日本の医師の英語対応能力について、具体的なデータを交えてご紹介します。​

日本の医師の英語対応能力に関するデータ:

  • 英語診療への自信: 2021年の調査では、医師の約70%が英語力に自信がないと回答しています。 ​m3.com
  • 英語での外来対応能力: 2023年の調査では、医師の64%が英語での外来対応ができないと回答しています。 ​m3.com
  • 英語力に関する自信: 2023年の別の調査では、医師の4人に3人が英語力に自信がないとしています。 ​日経メディカル

これらのデータから、日本の医師の多くが英語での診療に自信を持っていない現状が浮かび上がります。日本の医学部では、基本的に日本語で授業が行われるため、日常診療で英語を話す機会は限られています。しかし、医療研究や国際学会の論文は英語が主流であり、英語の読解や論文執筆が必要になります。これらが苦手な方は少なくなく、外国人患者との円滑なコミュニケーションにも課題を抱えている方が多いようです。一方で英語に堪能な医師は、外国人の診療に苦手意識がなく、紹介状や診断書など医療機関との連携も容易になります。

このような医師は、海外留学や国際学会への参加経験があるケースが多く、こうした医師は外国人患者の診療において大きな強みを持ちます。

私自身、海外で学んだ後、日本に帰ってから多くの外国人患者を診察する機会がありました。最初はスムーズに対応できていたものの、英語を使う機会が減ると億劫になってしまうこともあります。やはり、継続的に英語を使い続けることが大切だと実感しています。これからも機会があれば英語診療も積極的に取り組み、より良い医療を提供できるよう努力していきたいと思っております。

2. 外国人患者が増えている背景

そもそも、なぜ現在日本の医療現場で英語対応の重要性が高まっているのでしょうか?

✨ 訪日外国人の増加

観光目的で訪日する外国人が急激に増えており、旅行中の体調不良やケガで病院を受診するケースが多くなっています。首都圏だけでなく、特に北海道や沖縄などの観光地では外国人観光客の増加に伴い、英語での診療対応が急務となっています。

✨ 在留外国人の増加

日本に住む外国人の数が年々増加し、長期的に医療を必要とする外国人患者が増えています。特に都市部では、日常的に外国人患者が訪れる病院も少なくありません。

✨ 医療ツーリズムの発展

日本の医療技術を求めて、海外から治療を受けに来る患者が増えています。高度な医療技術を持つ病院では、海外からの問い合わせや受け入れの機会が増え、医師の英語対応力が求められています。

3. 医療現場での英語対応の課題

実際に医療現場で英語診療が必要になる場面では、以下のような問題が発生することがあります。

❌ 症状の正確な把握が難しい

英語が得意でない患者も多く、適切な言葉で症状を説明できないことがあります。そのため、診断に時間がかかったり、必要な検査を迅速に判断できなかったりすることがあります。

❌ 医療専門用語の壁

一般的な英会話ができても、「発熱」「めまい」「しびれ」などの医学用語を正しく伝えるのが難しいことがあります。また、患者が使う日常的な表現と医療英語にはギャップがあり、誤解が生じることもあります。

❌ 通訳の不足

大病院では医療通訳を配置しているところもありますが、地方の病院では英語が話せるスタッフが限られており(平日のみなど・・)、十分な対応ができない場合があります。そのため、英語が話せる医師や看護師の負担が大きくなっています。

4. 医師の英語力を向上させるには?

外国人患者が増える中で、医師の英語対応力を向上させることは重要です。では、どのように学べばよいのでしょうか?

✅ 基本的な医療英語の習得

「Where does it hurt?(どこが痛みますか?)」「Do you have any allergies?(アレルギーはありますか?)」など、診察時に頻繁に使うフレーズを覚えるだけでも、診療のスムーズさが向上します。

✅ 英語での症例報告や論文を読む習慣をつける

英語論文を読むことで、専門用語の知識を深められます。慣れてくると、英語の説明もスムーズにできるようになります。

✅ シミュレーションやロールプレイ

実際の診療を想定し、英語での問診や説明を練習するのも効果的です。英会話スクールやオンライン英会話を活用するのもよいでしょう。

✅ 通訳ツールの活用

最近では、AIを活用した医療通訳アプリも増えています。完全に頼るのは危険ですが、補助的に活用することで、言葉の壁を乗り越えることができます。

まとめ

日本の医師は現状、英語ができるとは言えないようです。しかし今後の医療現場では、より多くの医師が英語での診療を求められるでしょう。

「英語が苦手だから…」と敬遠するのではなく、基本的な医療英語や患者との円滑なコミュニケーションスキルを身につけることで、診療の質を向上させることができます。

また、英語力を身につけることで、国際学会や海外研修の機会も広がり、医師としてのキャリアの可能性も大きく広がるでしょう。

自身の経験からも、英語はすぐに上達するものではありませんが、少しずつでも学んでいくことで、より多くの患者を適切に診療できるようになります。まずは、診療で使えるフレーズから覚えてみてはいかがでしょうか?

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